LT12:25(1時間時間調整) UTC06:25
42-55,74S 92-38,37E BC WSW 30kt 1017hp 17℃ 80度 艇速13kt
もうズタボロです!
昼間に、風速が25ノットを下回ってきたので、メインを1Pに揚げる。
しばらくおとなしく走っていたのだが、
そこに突然、大きな波が来る。
船は大きく傾きブローチング。
デッキに出てみると、見るも無残。
・ジェノアセールの下半分が裂けている。

・ステイスルカバーが、もうボロボロ。

・左舷一番前のスタンションが折れ曲がっている。
・同じく左舷前から3番目のスタンションが外向きに90度曲がってしまった。

一発のはぐれ波でこれだけの被害が出た。
んー。
自然は油断してはダメですね。
実に厳しい。
ジェノアは慎重に巻きつけ、すべて回収した。
ステイスルも縛り付ける。
スタンションは変にいじくらないほうがいいだろう。
一番前のスタンションの足が、外に飛び出ている。
セールを引っ掛けないように注意が必要だ。
それから、半べそ状態で破れたジェノアを回収し、セールロッカーに片付ける。
これも結構大変で、他のセールをどかし、前に破いたC6の上に乗せる。
なんだかセールに「白石さんまたですか」と、言われている感じがした。
これで強風に張る追い風用のセールが無くなった。
残りはソレントだけだ。
これではあまり角度を落とせないし、セール面積も小さい。
走りにかなり影響が出るだろう。
エンジン関係も少し問題が出た。
オリジナルのオルタネーターと大きなオルタネーターやウォーターバラスト用のプーリーが、
また少し接触した感じだ。
金属音が出たので、少しスタンションを閉めて、隙間を空けた。
ベルトのスリップ音も少し出ているようだ。
何しろこのエンジンのシステムはベルトが多い。
6本のベルトを使っている。
その粉塵が、この部屋を結構汚している。
コンピューターもファンも黒い粉がかかっている。
健康には良くない。
あと少しというときに残念である。
これでフリーマントルでの仕事が増え、お金も思ったよりかかるだろう。
大変なことである。
いよいよこのレースのポイントがフリーマントルの修理しだいだ。
あらゆる問題を乗り越えねばならない。
ショアクルーの皆さん、がんばりましょう!
こういう時にこそ、私の奥儀を出す。
奥儀!「前向き」である。
・ジェノアが次の最長レグの前に破れてよかった。
弱っていることがわかったし、次のレグに向けて強化できるのだ。
・30ノット近い風の中で安全にセールが回収できたことはラッキーである。
・海域も暖かくなってきて、手がかじかまないですんだ。
・これで、中古のセールがやはりダメであることが分かった。ステイスルを新しくする決心が付いた。
・お金をかけてもメインセールとソレントを新調して良かった。
・最後まで油断できないとを肝に命ずる。
・他の船の事を考えれば、まだまだ被害は少ないほうである。
・それに何より、空は高く蒼いのである。
どうだ、これが私の奥儀である。
何時だったか、僕は鎌倉の八幡宮で3回連続「凶」を引いたことがある。
そのときに「望むところだ、いつか必ず吉を引いてみせる」と、つぶやいていたら女房が、
「あなたどこまでポジティブ シンキングなの」と、言われた。
康次郎