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単独世界一周ヨットレース「5-OCEANS(5オーシャンズ)」にspirit of yukoh号に乗り込み、日本人初のクラスⅠにてチャレンジする海洋冒険家、白石康次郎の公式(オフィシャル)ブログページです。
by kojiro_shiraishi
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苦難の後、天からのご褒美。
昨日は大変な日になった。朝から4時間かけてのメインシートブロックの取替え。
これは昨日のログでお伝えした通り。
ところがトラブルはこれだけではなかった。
夕方、右舷のオートパイロットの根元から「ギーギー」と、きしみ音がでた。オートパイロットの問題ではなく土台のカーボンから出ているのだろう。
このまま使い続けて、カーボンがはく離してしまうのを恐れて、左舷のオーパイに変える。しかし、左舷のオーパイがおかしい。
一度は大きくワイルドジャイブ!
幸いブームバングが利いて、大きな被害が無かった。
セールをたたみ、船を再び安定させる。
今度はオーパイからエラーメッセージ。
船を止めながら、原因を追究。30分ぐらいでマストトップについている右舷側の風向計がおかしいのだろうと気づく。 風向計は3本あるので、バーティカル(真ん中の高いもの)に変える。そうしたら、正常にオーパイが働きだした。オーパイも左舷側にチェンジ。これでようやく走り出した。昨日は修理に追われ、まともに走ることができなかった。その間、いつものようにベルナールはすっ飛んでいる。さすがベルナール!
このところの南氷洋は波が穏やかである。いつもだと6mぐらいあってもおかしくない波高は、風が吹いても4~5mにとどまる。穏やかな海面になっている。
さあ、この日の夜がすごかった!
夕暮れ、日の落ちた後、南の空に大きな彗星が現れる。絵に描いたような彗星で、真っ赤な大きな星から空に大きく三角形の尾が伸びている。 昨夜は南氷洋では珍しく雲ひとつ無い天気。ユーコーの上には天の川が走る。前には南十字星。振るような星たちで、時々流れ星が舞い降りる。もう一度南の空を見上げると、なんだか明るい。弧を描いて薄いカーテンのように霞がかかっている。
オーロラだ!
怪しく緑色に光り、時には二重に、時には大きくゆらゆらと空を揺らしている。オーロラのカーテン越しに星が輝き、彗星もその尻尾を輝かせている。これほどの天体ショーは始めてである。満点の星、天の川、南十字星、流れ星、オーロラ、彗星。何よりすごいのが、これがすべて本物であるこということだ。ディズニーでもこれほどの演出はしないだろう。 すばらしかった! 残念ながら写真には暗すぎて撮れません。もしかしたら夕暮れ、彗星だけは撮れるかもしれない。トライしてみます。 僕は子供のころ兄貴の影響で星が好きになった。将来は宇宙へ行きたいと本気で思っている。太陽風を利用した、宇宙帆船、太陽系一周レースに参加してみたい。ちょっと寿命が足りないだろうが、いつかきっとできるだろう。ちなみに兄はそのまま星に夢を追い続け、今ではプラネタリウムのエンジニアである。
兄弟で宇宙、海と、夢を叶えたわけだ。朝、早速兄に電話した。流石である。すぐに答えが返ってきた。その彗星は、今、太陽の近くで輝く「マクノートMcNaught彗星」だと言う。
南半球は夏、そして南極に近いので、一晩中観測できたのだろう。電話に双子の姪っ子や、甥っ子が出てくれた。うれしかった。また子供たちの元気をもらった。昨日の大変さが、吹っ飛んだ。 こうしてみると、僕は人間の及びも付かない大自然の中にいる。昨日の天体ショーは人間では決して創ることのできない天の成せる技である。その大きさに感動し、子供たちの純粋で小さな声に心温まる。
自然界と人間界、そして自分への試練。すべてを満喫した一日だった。
康次郎
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